C言語とC++言語の違い

概論・演習で学ぶC++言語はC言語から発展した言語です。そのため概論・演習で学習する多くの内容はC言語でも通用します。ここではC言語をC++言語と比較して記します。

まずC++で作成したサンプルプログラムと、それに対応したCプログラムを示します。VisualC++でこのCプログラムをコンパイルするには、プロジェクトに追加するファイル名として「xxx.cpp」でなく、「ｘｘｘ.c」と指定します。

基本的な文法はC++とCで共通です。C++はCに便利な機能を加えた言語ということで、Cにインクリメント演算子「++」を付けた名前となっています。Cのほとんどの機能はC++でも通用します。例えば上のCプログラムはC++として正しくコンパイル・実行することができます（逆に上のC++プログラムをCとしてコンパイルすることはできません）。

以下にC++では利用可能であるが、Cでは利用できない機能の主なものを列挙します。

C++ライブラリは使えません。入出力には、C++ライブラリ「iostream」で定義される「cin、cout」でなく、代わりにCライブラリ「stdio.h」で定義される「printf、scanf」などを使用します。逆にC++ではCライブラリを使うことができます。
文字列「string」もC++ライブラリで定義されている機能でありCでは使えません。「string str;」の代わりに、必要な大きさNを持つ文字配列「char str[N];」を使ってください。文字配列の処理にはCの標準関数を使います。比較関数strcmp、コピー関数strcpyなど多くの関数があります。
Cの標準関数にはセキュリティ上問題のある関数が多く存在しています。例えば上のCプログラムをVisualC++でコンパイルするとscanfに対して警告が出ます。セキュリティが問題となる場面では、警告メッセージで示された安全な関数を使用して下さい。その多くは、不正アクセスで多用されるバッファオーバーフローを防ぐために、バッファの長さ検査が加えられたものです。

変数定義（「int i」など）は、ブロックの先頭（「 { 」のすぐ後）に置く必要があります。上の例のようにループ変数もブロックの先頭で定義する必要があります。

  C++言語
  {
      int i=0;
      i++;
      int j=0; ←どこでも置ける
      j++;
       ...

  C言語
  {
      int i=0;
      int j=0; ←Cでは実行文より前に置く
      i++;
      j++;
      ...

プロトタイプ宣言 はなくても動きますが、C++と同様に付けることを推奨します。
稀にですが、1行コメント「// ...」が使えないコンパイラがあります。その場合は「/* ... */」を使ってください。

「class」は使えません。構造体定義には「struct」を使ってください。また構造体「struct Sample{ .....};」の型を持つ変数xxxは、「Sample xxx;」ではなく、「struct Sample xxx;」と定義する必要があります（表の中央）。表の右のように型定義(typedef)を使うとC++と同様に利用できますが、構造体の中でその構造体自身を参照指定する場合のみstructを省略できません(下段)。

 C++言語
 struct Sample{　　　
     int x;
     int y;
 };
      
 Sample aa;
 Sample bb;

C言語
 struct Sample{　
 　　int x;
     int y;
 };
      
 struct Sample aa;
 struct Sample bb;

C言語(型定義利用)
 typedef struct Sample{　
 　　int x;
     int y;
 } Sample;
      
 Sample aa;
 Sample bb;

 C++言語(自己参照)
 struct Sample{　　　
     int x;
     int y;
     Sample *p;
 };
      
 Sample aa;
 Sample bb;

C言語(自己参照)
 struct Sample{　
 　　int x;
     int y;
     struct Sample *p;　
 };
      
 struct Sample aa;
 struct Sample bb;

 C言語(自己参照、型定義利用)
 typedef struct Sample{　
     int x;
     int y;
     struct Sample *p;
 }Sample;
      
 Sample aa;
 Sample bb;

メモリ領域の確保と解放 には「new、delete」ではなく、「malloc、free」を使います。
引数に参照渡し は使えません。引数の値を呼び出し側へ戻す必要がある時はポインターを使ってください。
STL、テンプレートは使えません。
オブジェクト指向に関係する機能は使えません。